世界を削り出し、紙に収める

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「世界を手に負えるサイズまで削る」という言葉がある。結局のところ、ノートを書くというのは頭の中でふわふわと浮いているような断片を削り出して、目の前にある「あつらえ向きの道具」に収納しているという気分になる。

かつてミケランジェロがダビデ像を絶賛された際、「簡単だよ。大理石の塊の中にダビデの形が見えたから、それ以外を削り落としただけだ」という趣旨の言葉を返したという逸話を思い出す(なかなかイケ好かない)。イサム・ノグチも石が本来持っている姿に対して「少しだけ手助けしてあげる」というようなことを語っていた気がする(札幌人はイサムちゃんは馴染み深いので好きだ)。ぐるぐると描かれた落書きのような雲から、物事をコーヒーのように「抽出」する。そんな感覚よりも、大きな塊の中から「削り出してくる」という表現の方がしっくりくる感じがする。

頭の中はいつでも、『Fallout』めいた世界で、RADアウェイ(放射能除去剤)とスティムパック(回復薬)を頻繁に使いながら過ごしている。そんな荒野から削り出してきた、自分にとって「まぁ、ちょっと良い感じのもの」を入れておくのに最適な場所は、結局のところ、「紙の帳面」である。ヘイ、ノートブッカーズ、他にないだろう?

ひと昔前に比べると、比較的広めの紙面を好むようになった。以前は、ポケットサイズのモレスキンを愛用していたが、最近はA4三つ折りサイズのトラベラーズノート・レギュラーがしっくりきている。今でも、ポケットサイズのモレスキンはカッコ良いと、ちゃんと思ってるよ。

さて、今日はノートの書き方だ。

自分の場合は、多分、物事の整頓をするとか俯瞰をするためには書いていないと思う。主に書くのは「ToDo」や、覚えておきたい・あるいは読み返したい知識の断片だ。書き方は、バレットジャーナル的なものとはちょっと違っていて、あまりルール化していない。

後で読み返したい情報やToDoには、先頭に「□(四角)」を書いて箇条書きにする。

例えばこうだ。


□ 買って帰る。ベラとムストとウーゾとシルフィウム。

□ ヒバリの舌(linguae alaudarum) : 大量に小鳥の舌だけを取り除き、細かく刻んでソースで煮込む。/フラミンゴ(flamingo) : 1羽丸ごと調理し、ガルムと胡椒で味付け。ダチョウやヤマネコも同様。

□ 降りたての雨水を用いる。それを3分の1の量に煮詰め、古いハチ蜜1に水3の割合で加え、その混合物をシリウスが昇った後、40日間天日にさらしておく。

ポイントは、必ずしも「実行すべきタスク」だけでなく、単に後で読み返したいインフォメーションにも気軽に「□」をつけておくことだ。 そしてここが肝心なのだが、用件が終わったり、読み返して「もう必要ないな」と感じたりした時に、チェック(☑️)を入れる。読み返す際、チェック済みの項目は潔く読み飛ばすためだ。

一方、自分の思考を書き留める時は「☆」マークを使い、その後につらつらと言葉を繋げていく。


☆その昔、友人から言われた割と印象に残っている言葉。「タカヤが持っている服で欲しいのひとつもないんだよね」と「タカヤを集団の中から探すときは、穴の空いたズボンを履いている人を探すと早いよね」。着ている服によって気分は変わらない、いつでもフラットだ。

☆街中を歩いてる時に、やたらと綿あめ的な香りを嗅ぐことが多い気がする。ベリーや微かなバニラが香る場合はアクオリナのピンクシュガーであり、綿菓子にイチゴを加えた感じであれば、ボディファンタジーのコットンキャンディであり、いちごのフルーティ加減が強い場合はゲランのラ・プティット・ローブ・ノワール・オーデパルファン・インテンスである。そういうものだ。クルンテープ マハーナコーン アモン ラッタナコーシン マヒンタラ アユタヤ)マハディロク フォップ ノッパラット ラチャタニ ブリロム ウドムラチャニウェトマハサタン アモン ピマン アワタン サティット サッカタティヤ ヴィシュヌカルマプラシットはバンコクの正式名だ。

☆トーラス円環は、体積は 2π2r2R (r: 管半径、R: 中心軸からの距離)で、内径と外径の差がゼロになると体積が消失する

世界は放っておくと、いつでも自分を押しつぶそうとじわじわと迫ってくる。世界に対して押し返す力として、そういうノートが必要な時がある。書くことは居心地の悪い世界に対するちょっとした反抗だ。

タカヤ

ヒッピー/LAMY・モレスキン・トラベラーズノート好き/そしてアナログゲーマー

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